Door to Reactor Simulation

< Update : Jan. 18 2009 >

アプリケーションソフトウェアの性能がどんなに向上しても,ソフトウェアを使いこなさない限り,得られた結果から有用な結論やアイディアを得ることは簡単ではありません.将棋棋士の羽生善治さんは,ご自身の本*1の中で次のように仰られています.「知識は単に得ればいいというものではなく,知識を積み重ねて理解していく中で『知恵』に変えないと生かすことはできない」.ものづくりの為のコンピュータシミュレーションにも,同様のことが言えるのではないでしょうか.

複雑な反応が関与する反応炉のシミュレーションは,以前よりも格段に実用性を帯びて来ましたが,それでもなお,様々な課題が残されています.ここでは,半導体製造プロセスの中で必要となる熱CVD装置を重点的に取り上げ,反応炉(装置)のプロセスシミュレーションを行う際に役立つと思われる内容を,過去の経験に基づいてご紹介したいと思います.計算を始める前の見通しを立てる段階を軽視すると,しばしば,後で行う計算結果の信頼性を損ねてしまい,結果的に遠回りしてしまう可能性があります.

内容は,シミュレーションをこれから始める方を対象とし,どのような視点で考えることが役に立つか,ということにウェイトを置いています.適時見直しや更新を行う予定ですが,もし間違いやお気づきの点がありましたら,ご指摘・ご指南頂けると幸いです.可能な限り,今後に更新時に反映させて頂きます.

1. 事前検討
1.1 閉じた空間に対するモデル化( 08/11/06 更新)
1.2 必要となる実験・計測データ( 08/11/11 up )
1.3 計算に必要となる物性値( 08/11/21 up )
1.4 実験や計算のプロセス条件( 08/12/30 up )
1.5 零次元の計算から得られる見通し( 09/1/18 up )

2. 反応性ガスを用いない条件での実測と準備する計算モデル(2.1以降は,今後)
2.1 理想的な実験条件の振り方
2.2 意外と重要な装置の外の温度分布
2.3 二次元の熱解析モデルの構築
2.4 測定結果にフィットさせる際の注意点

3. 反応性ガスを用いた条件での実測と計算モデル
3.1 計算領域の再検討
3.2 反応モデルや境界条件の再検討
3.3 モデルの妥当性評価,及び,三次元モデルの可能性に関する見通しの検討


1) 決断力 [著者:羽生善治( ISBN 4-04-710008-0-C0295 )]

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