プラズマシミュレーションを行う上で,電子の衝突断面積やレートコンスタント(反応レート)は必要不可欠なデータベースです。Quantemol-N は,これらの値を推算するソフトウェアとして開発され,実験による測定が困難な分子の衝突断面積を求めることも可能です。
計算コードとして,この分野における最先端の UK molecular R-matrix code が使用されています。Graphical User Interface が準備されており,設定項目も限られているので,入力項目の数は多くありません。
以下のような断面積データを推算可能です。
■ 全反応断面積(Total cross sections)
■ 励起および解離断面積(Electronic excitation and dissociation cross sections)
■ BEB モデルによるイオン化断面積(Ionization cross sections by BEB [binary-encounter-Bethe] model)
■ 解離付着断面積(Dissociation attachment cross sections)
■ 部分断面積(Differential cross sections)
■ 運動量輸送断面積(Momentum Transfer cross sections)
および
■ 共鳴パラメータ(Resonance parameters)
☆
簡単な分子の計算例として,以下では H2O についてご紹介致します.
Quantemol-N の入力画面
始めに,計算したい分子を定義します。ここでは,H2O を考えます。
Fig. 1 分子の定義
☆
次に,原子の配置を指定します。
Fig. 2 原子の配置を設定
☆
対称境界を指定できる場合,計算時間を短縮出来ます。
Fig. 3 対称面の設定(表示1)
Fig. 4 対称面の設定(表示2)
☆
次に,電子の軌道に関する情報を与えます。C2v 対称の水分子 (H2O) の場合,1a12 2a12 3a12 1b12 ですので,以下のようになります。
Fig. 5 電子軌道に対する数と配置の設定
☆
計算モデルを指定します。以下では,Hartree Fock を選択した例です。Basis set についても合わせて指定します。
Fig. 6 計算モデルと基本セット(Basis set)の選択
☆
衝突させる電子のエネルギーについて幾つかのパラメータを設定します。
Fig. 7 衝突させる電子に関する設定
☆
電子付着に関する情報を入力します。
Fig. 8 電子付着に関する情報の設定
☆
必要に応じて,より高度な設定が可能です。
Fig. 9 その他のやや高度な設定
☆
計算に必要な情報ファイルの保存
Fig. 10 設定条件の保存
☆
Save を押した後に Run を押して計算を実行中,以下のような Output が表示されます。
Fig. 11 計算途中の様子
☆
計算が終わると,自動的に以下の Windows が表示され,計算結果を確認することが出来ます。
Fig. 12 計算結果の参照パネル
☆
以下に,計算結果の一例を示します。
Fig. 13 全断面積
☆
Fig. 14 レートコンスタント
☆
Fig. 15 イオン化の断面積
☆
Fig. 16 解離付着断面積
☆
■ Quantemol-N の使い方
以下に,使用法を示した動画がありますので,こちらもご覧下さい。
☆
お問い合わせは,以下までお願い致します.
今後,Quantemol-N を用いて計算した論文(適用例)をご紹介致します.
☆
© 2008- ATHENASYS Co., Ltd. All Rights Reserved.