CFD-ACE+ を用いた流体構造連成(VOF + Stress)のシミュレーション
( Simulation for Fluid-Structure Interaction using CFD-ACE+
)

計算例1

液体中で固体が変形する場合,流体と構造をカップルさせて解く必要があり,一般に計算の難易度が増します.

簡単な例として,水中で移動する柔らかい板を考え,その時の板の変形と周囲の水の流れを計算した例についてご紹介致します.計算は,基本的に三次元でも可能ですが,以下の例では二次元(対称境界を含む)を考えます.寸法と初期条件は,以下の図1のように仮定しました.

outline and initial condition

Fig. 1 二次元の計算モデル

計算領域は,高さ21cm,幅15cmとし,左端は対称境界を仮定しています(Fig. 1 では寸法が m 単位で表示されています).重力を X方向(図では,下向き)に考慮し,初期には上部3cmが空気で占めています(計算領域の最上部は outlet 境界となっています).構造物として,幅10cm,厚さ1cm の断面を持つ柔らかい板を考慮します(左端は対称境界).ヤング率は,1×106 [N/m2] としました.

計算には,CFD-ACE+ が持つ module のうち,Flow・Turbulence・VOF・Stress・Grid Deformation の5つを利用します.本計算では,水の表面張力と乱流(k-ε)を考慮しています.

板は,対称境界においてX方向(上下方向)に sin(ωt)の関数を利用して強制変位させます.本計算例では,振幅1cm・周期2秒としました.最初に +X(下方向)へ 1cm 移動し,その後で -X(上方向)にも 1cm 移動します.

以下に,2周期計算した結果のアニメーションを示します.

animation of the moving plate and mixing water

Fig. 2 計算結果のアニメーション(2周期:4秒)

計算領域内には,速度ベクトルを重ねて表示しています.ベクトルの色は速度に対応しており,青が小さく,赤が大きいことを示します.

板が上下すると,板の端の部分は,周囲の水から抵抗を受けるために,強制変位させれられている左端のエッジとは,かなり異なった振る舞いを示すことが分かります.また,板の運動に伴い,水が持ち上げられたり,板の下方に流れ込む様子がベクトルの向きを追う事で理解できます.


計算例2

考慮している物理モデルは同様ですが,更に広い領域を計算領域にとり,薄い板を水中で魚のように動かしてみました.

case-2 : outline for FSI problem

Fig. 3 二次元の計算モデル

計算領域は,高さ約10cm・幅40cmとし,左端の上部には inlet が設けられていて,ここから水が流入します.(Fig. 3 では寸法が m 単位で表示されています).また,向って右側の上部には,outlet を設け,ここから水が流出します.

重力を X方向(図では,下向き)に考慮し,構造物として,幅10cm・厚さ3mm の断面を持つ板を考慮します.板のヤング率は,5×108 [N/m2] としました.

計算には,計算例1と同様,Flow・Turbulence・VOF・Stress・Grid Deformation の5つを利用しています.

本計算例では,板の左端を sin(ωt)の関数を利用して強制変位させます.振幅は10mm,周期2秒としました.最初に +X(下方向)へ 5mm 移動し,その後で -X(上方向)にも 5mm 移動します.

Animated GIF of moving thin plate in Water

Fig. 4 計算結果のアニメーション(2周期:4秒)

水が流入する関係で,水位は少しずつ高くなります.水は,板の下方を主に流れている様子が分かります.板の周辺を拡大したアニメーションを,Fig.5 に示します.

Animated GIF (Zoom) of moving thin plate in Water

Fig. 5 計算結果のアニメーション(上下する板近傍を拡大)

板の上部では,水の流れが複雑に変化する様子が分かります.計算時間は少し長く掛かっていますが,このような流体と構造を連成させた解析が出来るのも,CFD-ACE+ の特徴の一つです.

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